《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』


★★★




ハワイアンな雰囲気の漂う店。入り口付近は明るいが、テーブルの辺りは落ち着いた間接照明になっている。

店内の壁には、ハイビスカスの造花やモンステラの大きな葉っぱ、サーフボードまで飾られていてハワイの気分を満喫できて結構気に入っている。


「なんかこの店、明るい照明になったっぽくない? 前もっと落ち着いてたよね? 掃除でもしたのかな」
4人がけのテーブルに案内されて、座る前に天井を見た。

「どこも変わってませんよ。変わったのは、先輩のココだけですよ」
向かい合わせに座ってから、万里が人差し指で頭を指差した。

「は? どういうこと」

「恋愛に浮かれている人のソコは、今まで見てたものの色まで鮮やかに綺麗に見えたりするんですよ」
万里が私の頭を指差しながら呆れた様に言う。


「その様子だと先輩、あのイケメン彼氏とは今度こそいくとこまで行ったんですか?」

ピンク色のドロッとした液体にトロピカルなフルーツが沢山トッピングされているドリンクをアロハシャツを着たウエイターが万里の前に運んできた。あまりにもスピーディーすぎる展開だ。


「はやっ! ちょっと、いつの間にそんなの頼んだの?」
これ以上遅れを取るまいと慌ててウエイターに『生ビールください』と頼んだ。


「店に入ってすぐですよ。ここの常連ですから。で、いったんですか?」
確かにここに最初に連れて来てくれたのは、万里だった。さっきのウエイターも前から思っていたが、なんか万里に親切だ。たぶん可愛いからなんだろう。客を可愛いか可愛くないかでサービスの質を変えるのは、いかがだろうと首を傾げたくなった。





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