《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』


自分の顔より大きなグラスを眺め、液体にささっている棒状のパイナップルを指で摘まむ万里。

「まあ、いくとこまでねー」
いったのかとか、いくとこまでとか、そこだけ聞くと強烈な下ネタのように思える言葉だ。


「いいですねー、先輩は。あとは、せいぜい捨てられないように頑張ってくださいよお?」


「ちょっと、いずれ捨てられるって設定なわけ?」


「そうですよ? 自分でわかってます? 年下のイケメンを繋ぎとめておくには相当気合入れないとって」
相当って言葉を強めに発した万里。

棒状パインをパクパク食べてごくりと飲み込むところまで、私は万里を見ていた。いや、見ているようで見ていなかったが正しい。

夢心地だった気分が、一気に奈落のそこ気分になった。可愛い顔して物事の本質をズバッとついてしまう万里は、あんまり可愛くない。




このところ、確かに浮かれていた。



俊也と朝を迎えた次の日は、あまりにも楽しくて甘い日曜日を過ごしすぎた。私まで鼻血が出そうだった。
月曜日の夜には俊也が『会いたくなったから、来ちゃった』と、はにかんだ笑顔を見せにやってきてくれた。『しょうがないなあ』と迷惑そうな感じで言いつつ、実はかなり嬉しかった。

毎日ラインで会話して『好きだよ、真澄さん』『私も好き』と歯の浮くような台詞を打っては、ひーひー言ってベッドをのた打ち回り一人で喜んでいた。

水曜日には一緒に夕飯を食べて、私の家で俊也とまったりとした夜を過ごした。濃厚で心身ともに満たされた最高の夜になった。俊也の腕枕でベッドでうとうとしながら『土曜日はさ、朝からドライブに行こう』って約束もした。


久しぶりに彼氏が出来て、年中笑いたくなってきて困るという感じではある。





「先輩、ちゃんとしないとだめですからね?」
身を乗り出してきた万里が、大きな瞳を見開いて私を見た。




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