《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
「万里」
「はい?」
「なんか、店の中どんより暗くなってきたよね?」
周りを眺める万里。
「い〜え、変わりませんよ」
「絶対に暗くなったって……」
「そうですかぁ?」
「万里」
「はい」
俊也の笑顔を思い浮かべていた。
「聞いてきてよ」
「暗くなったかどうかですか?」
万里は面倒そうな表情を見せた。
「違うって……」
俊也の照れた顔が頭の中にチラついていた。
「なんです?」
「なんでもない。飲む、飲むよ! すいませ〜ん」
手を上げてウエイターを呼んだ。
「ビールのお代わりと、アヒポキとロコモコと……」
メニューを見ながらも万里の言ったことを考えていた。
もしかして、私って俊也にしたら彼女じゃないかもしれないの?
他にも女がいるかも?
まさかね。だけど、年下のイケメンが私で満足出来る?
少し考えれば、答えは簡単に出てくる。
満足出来るはずがない。
一目惚れしたと言われて、なんだか調子に乗っていた。
思えば、昨日ラインで「明日会える?」と聞いたら「明日は、ごめん」との答えだった。
深く考えなかったが、今思えば会えない理由は教えてくれてなかった。
「万里」
「なんですか?」
「奢らないからね、今日。割り勘」
「えーひどい〜。先輩の奢りだって言うから、これ頼んだのに」
目の前の大きなグラスを指さした。
「いくら?」
「2200円」
私は拳を握りしめて万里の方へ出した。
「殴るよ。奢りだと、なんでそんなの頼むのよ!」
「奢りだからですよ。ねー先輩〜、お願いしますよ」
身を乗り出して泣きそうな顔を見せる万里。
「本当に得な顔してるわ」
万里は、可愛い顔した可愛い後輩。私が万里みたいな顔だったら、こんなに悩まないだろうか?
「ありがとう! 先輩。良く言われますぅ」
喜ぶ万里を見て、密かにため息をついた。