《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
★★★
万里と別れて、電車に揺られ窓に映る自分から目を逸らした。
髪に手をやり、指を入れてとかすみたいに動かしてみる。
俊也が優しく撫でてくれた髪……。
指先を眺めてみた。
俊也がキスしてくれた指先。
電車を降りて、商店街を通り抜けコンビニの先に私の住むマンションがある。
振り返って仰ぎ見た空に浮かぶ高層マンションの15階に俊也は住んでいる。
考えてみれば、俊也は何故か私の家が落ちつくとか言って私の家のベッドで私を抱いた。
俊也の家には、ゴキブリ騒動のあと一度も行ってない。
バッグからカギを取り出したものの、モヤモヤ感が消えず、私にべったりとまとわりついていた。
付き合ってるのかどうかなんて聞くのは野暮な女のすることだ。
お互いに好き同士なら大人なんだからそれでいい。
頭では、わかろうとしていた。でも、考えれば考えるほど………ある種の不安が募る。
そうだった、恋って案外面倒なもんだった気がする。
前にも恋はしている。ただ時がたちすぎて、いろいろと面倒な点を忘れていた。
胸がきゅっと痛いほどに締め付けられる。相手を思い、相手にどう思われてるか知りたい、そう考えるだけで苦しくなってくる。
マンションの自分の部屋についた私は、カギを開けずに今きた道を戻り始めていた。