《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
俊也のマンションまで来て、正面玄関から入り玄関の共用インターフォンで1507と数字を押した。
少しして「はい、どちらさま?」と落ち着いた男性の声が聞こえてきた。私は、瞬きを何回かして1507という表示された数字を見続けていた。
「えっと」
名乗らない訪問者のせいで、男性がインターフォン越しに困っている様子がこっちに伝わってきていた。
「えっと?」
一人暮らしでてっきり俊也が出るもんだと思い込んでいた私もてんぱっていた。
何しろ誰もいないなら、いない方が良かったのだ。私もまた出直して来る事も出来たように思う。俊也は、いなかった、留守だった、なんだ残念、で済んだ話だった。
それなのにインターフォンから出てきたのは、聞いたことの無い男性の声だった
俊也の家に知らない男がいる。
インターフォン越しに出てきたのが女じゃないだけ、ましだったのか? いや、同じ負けるなら女のほうが良かったのじゃないのか?
良からぬ方向へと広がっていく妄想。
「あの……三浦俊也さんは?」
普通に考えれば、たまたま遊びに来た友人だろう……そう思って聞いてみた。
「今、出てったところですけど」
「出て行った?」
「そう。……俊也の友達?」
今、一番耳にしたくなかった言葉だ。『俊也の友達』、私は俊也の友達なのだろうか?
「いえ、あの……もういいです。失礼します」
自分でも信じられない位に私は超ネガティブになっていた。