《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
「変わりたいんでしょ?」
この店を覗いていた私が、どうしてほぼ衝動的に変わりたいって考えていたのがわかったんだろう。
不思議ではあったが、真面目な話、私は30歳を目の前にして少しは変わりたかった。20代もあと少しで終わりだというのに、何も変わらない自分がいい加減嫌になった。
年上だからって年下男にカッコつけてる、ちっぽけな自分。
後輩の万里に少しなんか言われただけで、気分を左右されてしまう惨めな自分。
すっかり恋に振り回されている情けない自分。
どれも自分で、俊也と恋を始めようと決めたのも当然自分だ。
美容室『from』。
ここから、新しく始めたい。
新たな気持ちで、恋も人生も歩んで行きたい。
「長さは……」
東京に出てきてから、ずっと同じストレートセミロングを保ってきた。
誕生日まであと半年。
ずっとセミロングだった20代、残り半年しかない20代は思い切ってショートで過ごすことに覚悟を決めた。