うらしまさんとあずみちゃん
「いうわけないでしょ! あずみのこと、いらないわけないでしょ! ばかなこといわないでくださいよ」
皇子の『あずみをくれ』との言葉に、島子がいきりたっています。
「私はものじゃないんだから」
あずみは小声で言いますが、ふたりの男の耳には届いていないようで。
「でも、おまえたちケンカしてるから」
「いつかは、ぼくのほうから折れるつもりでした。あずみはあげません」
「じゃ、仲直りか?」
「もちろんします」
「だって。どうする、あずみ」
皇子さまはニヤリといやらしい笑い方をしています。
「皇子さま、まさか最初からそのつもりで」
あずみは心の中でそっと、皇子に両手をあわせて感謝しました。