柔き肌に睦言を
「すごい濡れてるじゃん。ほら」
クチュクチュと音がする。私にも聞こえるほどに。
「すごいことになってるよ、ここ」
外崎が右腕全体を肩から上下させて下着の中をいじっている。そんなにしなくても。睦美は大丈夫なのか、と伺い見ると、やっぱりうれしそうに、涙まで浮かべている。いや、汗なのだろうか。
テーブルは相変わらずギシギシいいっぱなしで、私は手に汗握って覗き続ける。
「オレの方がガマンできねえよ」
外崎が息を荒げながらそうつぶやくがはやいか、とうとう睦美は快楽に屈した。
「あっ、ああん」
「睦美ちゃん」
「修二くうん、だめえ、あたし、変になっちゃう」
変になっちゃいそうなのはこっちのほうだよと思った。私だって子供じゃない、つもりだ。セックスにそこまで夢を見ていたわけじゃない。エロマンガを立ち読みしたりしてイメージしていた。本来は命を授かるためのその営みは、別段うつくしい行為ではないとはわかっていた。
だが現実のこの生々しさはどうだ。うつくしいかそうでないかの判断さえ無意味に思えてくる。圧倒的な人間としての欲望。動物としての本能。こういうものを目の当たりにすると、俄然、創作意欲をかきたてられてしまうのだ。
「声出ちゃったね。じゃ、しゃぶってもらおうかな」
ますますエロマンガな展開だ。私がセックスをうつくしくない、というかきれいではないと思った理由の最たるものがこれだ。
用を足すまさにその場所を口に入れるなんて、考えられない。狂っている。こういう自分の想像をはるかに超える事に出くわした時にいつも思う。誰が考えたのだろう、と。とくにこの行為については、考えたやつの顔が見たい、と。
しかし今、睦美と修二の流れるようなエロマンガ的展開を見ていると、何だかそれをするのが当然のような、むしろそれをしないと味気ないかのような、そんな気になってきた。私もかなりの陶酔状態にあったのかも知れない。これ以上は見たくないと思いながらも、窓の隙間の奥の生々しい誘惑に勝てないのだ。
睦美はしゃぶった。しゃぶってしゃぶって、しゃぶりつくした。と言っていいほどしゃぶっていた。正直にすごいと思った。これは愛がなくてはできないことだ。愛のなんたるかをよく知りもしないその時の私は、しかし男女間の真理にたどり着いたかのように、そう思った。
「ありがとう睦美ちゃん。すげーよかった」
そう言って修二は優しく睦美を立たせると、いよいよのクライマックスに熱くなる自分のものをもう抑えきれないようだった。私は思った。角度的に男のものが見えなくて、本当に良かった。
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