隣に座っていいですか?

「紅茶が入りましたよ」
旦那様に言われて腰を上げ、リビングへ戻りソファに座り込む。

「郁美さんって」

「はい」

「桜が泊まる日は、抜け殻になりますよね」

矢吹ジョーと呼んでくれ。

「寂しいですか?」

カップを持って
私の隣に座り
優しく微笑む。

結婚したけど
まだ
その優しい顔が近づくと
ドキドキする私。

「寂しいです」

「僕がいるのに?」

「紀之さんと桜ちゃんは違うもの」

「娘に嫉妬しそうだ」

肩を抱かれて
軽く頬にキスされたけど
無反応の私。

「明日は母の日ですね」

「うん」

「今夜僕から、1日早い母の日のプレゼント渡しましょうか?」

「え?そんなの用意してたの?」

「用意はしてない」

「じゃぁ何?」

マッサージとか?
悩んでいると
耳を甘噛みしながら
そっと彼は囁く

「濃厚なエッチ」

その一言で
私は真っ赤になってしまい
彼に笑われる。

「冗談だって」

冗談でそんな発言すんな!

近くにあったクッションを投げつけ、私は元気になって台所へと立ち上がる。

まったく

本当に……ってカーッと怒っていたら。







夜になり


彼は有言実行の人だった。


肉食系男子。


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