隣に座っていいですか?
いつもこうなのだろうか
私が家に居ない時
彼は和室で
亡くなった奥さんと、ふたりの時間を過ごしているのか
何の話をしているのだろう
ふたりきりで
私の居る時
それは
出来ない事なのだろうか
私が居ると
邪魔なのだろうか
堂々と
私の居る時にやってほしい。
目が潤み
彼の背中が歪んでしまう。
ふと
気配がわかったのか
彼が振り向き
「あ……おかえりなさい」と、こちらへ来ようとするので、それを止める。
「いいよ」
「どうしたの?」
鋭い声を送り出すと
鋭い声が返ってくる。
「無理して来なくていいよ。奥さんとお話してたんでしょう。ごめんね邪魔して」
嫌な顔をすると
嫌な顔が返る。
「郁美さん……」
「隠れてコソコソ奥さんと話さないで、堂々と私の前でやってよ」
「話が見えないんだけど」
「私は子作りの相手じゃない」
「落ち着こう」
「新しい家族を作るだけの相手じゃないの」
「いい加減にしなさい」
「紀之さんは、私の気持ちなんかわかってない」
「それはこっちのセリフだ」
思いやりのない言葉を言えば
思いやりのない言葉が返る
「君こそ僕の気持ちがわかってない」
会話って
鏡のようだね。