隣に座っていいですか?

普通の会話をして
彼の予定を聞きながら
私は隣の実家へパートへ向かう。

「機嫌いい顔してる」
母親に言われて

「新婚さんですから」
元気に返事をすると

「ケッ……」
父親の面白くなさそうな声。

和やかに仕事して
お昼になって隣に帰る。

美味しそうなアツアツ海老の天ぷらを二匹、後から報告でいただいてきたので、今日は我が家も天そばにしようか……って、それなら隣に食べに行った方が早いのか?

まぁいいや。

昨夜の事はリセットしよう。

美味しいお昼を作りましょう。

玄関に入った所で
友達からメールが届いたので『ただいま』を言うタイミングを逃してしまった。

靴を脱いで台所に入り
アツアツ海老の天ぷらを置き
実家の裏庭から、これまた勝手に失礼してきた綺麗な菊の花をまず仏壇にって思い、花瓶を取りに和室に向かうと

彼が居た。

私には

気づいてはいない

和室に足を放り投げ
ベッタリと座り
ただ
仏壇と向き合い

ずーっと
奥さんの顔を見ている。

愛しそうに
切なそうに

奥さんの顔を見ていた。



< 254 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop