隣に座っていいですか?
しおらしく思っていても


へタレは帰って来ない。


「お父さんおそいね」
元気に目を覚ました桜ちゃんと一緒に遅い夕食を終わらせ、お風呂に入っても戻らない。

どこに行ったんだろう。

「きっとお仕事かな?先に寝てていいよ」

「うん」

元気に返事して
自分の部屋に戻ろうとしてから、またダッシュで私の元に来てギューっと抱きつく。

「桜ちゃん」

「いくちゃんママが生きててよかった」

小さな身体があったかい。

「うん。ありがとう。おやすみなさい」

大切な存在。
大切に育てたい。

「あしたおとまりのおしたくするね」

そう言われて
頭をひねる

そうか
明日は土曜日だから
桜ちゃんはお金持ちのおばあちゃんの家でお泊りだ。

げっ!
彼とふたりきりか。

返事をしない私を見上げ
「いくちゃんママがさみしかったら、さくらは行かないよ」
大きな目が真剣に言うけれど
双方楽しみにしてるよね

「お父さんがいるから大丈夫」

いるから
不安なんだけど

いや
帰ってくるのか?へタレ。

「わかった」
桜ちゃんは安心した顔をして、自分の部屋に行ってしまった。



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