隣に座っていいですか?
車の中では
軽いジャズが流れ
左ハンドルを普通に運転する彼の横顔を覗く。

横顔が綺麗

じゃなくて!

さて
何から聞こうか。

「この車は?」

「相川のを借りました。違う曲にしましょうか?」

信号待ちで音楽を変えようとすると、ジャズから北島三郎に変化した。

イケメン作家
オールマイティだなぁ。

彼は北島先生の歌声に一瞬たじろきながら、また長い指を伸ばし音楽を戻す。

「郁美さんと出かけたいから、車を借りに行きました」

そうなのか

「そのスーツは?」

「あ、これはせっかくだから、相川の家の住込み家政婦さんが『スーツもどうぞ』と、帰りがけに貸してくれました」

「家政婦さんが?」

「あそこの家は家政婦の方が強くて、家政婦って言ってもまだ未成年の可愛い女の子なんだけど。体型が同じだから丁度いいって、クリーニングから戻って来たのを出してくれて」

「相川さんのスーツを?」

「車のついでに借りました」

軽く答える彼。

いいのか?
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