隣に座っていいですか?
「桜が今日はお泊りなので、ふたりで新婚旅行に行きましょう」
優しく言われて
恥ずかしくなり
うつむきうなずく。
新婚旅行。
考えてなかった。
彼の気持ちが嬉しくて
照れながら横を向く。
高速道路に入りかけ
遠くの山の紅葉が綺麗。
どこへ行くのだろう。
車の中では
イケメン作家の家庭内事情を聞き、ふたりで笑う。
イケメン作家の相川先生。
家の中の事は何もできず
完璧ゴミ屋敷にしてしまうらしい。
炊飯器にカビを発生させ
床は服と雑誌とバナナの皮で見えないくらいで、女性関係も激しく家政婦は続かず。
最後の砦が
今の家政婦
まだ未成年。
この女の子が最強で
年上の雇い主を遠慮なく説教して、相川先生を人間として調教しているらしい。
「小さくて可愛い女の子なんですよ」
「ウケるね」
「郁美さんに似てるかも」
「私も紀之さんを調教してる?」
「そうでしょう」
失礼な会話をしながら
車はスピードを緩め
森の中にある
小さなホテルに到着。
白い清潔そうな建物は
有名ホテルのマークが付いていた。
雑誌で見た事のある
今 女子憧れのホテル。
お食事雰囲気満点で現実を忘れさせてくれる空間。