隣に座っていいですか?

夜も更け

窓を開け
吸い込まれるような星空を見上げ
2人でワイングラスを傾ける。

「さすがに風が冷たいですね」

子供のように星空に夢中になってる私の肩を抱き、窓を閉じ耳元にキスをする。

酔っただろうか
まだ大事な話の前なのに
火照る頬に手を当て
大きく深呼吸してから彼の手を握り、身体を離して距離を置き改めて椅子に座る。

彼は苦笑いをし
テーブルを挟んで私の前に座り
グラスにワインを注ぐ。

ほんのり明るい照明が
彼の綺麗な顔を照らしていた。

「最近。僕は考えすぎているかもしれません」

真剣な話をする時
彼のワインの量は増える。

「結婚した事で、郁美さんの可能性を奪っている。そんな思いが強くなってきて」

「え?」
思いかけない発言だった。

「僕と結婚してなかったら、友達と旅行へ行ったり合コンに行ったり。自由に楽しく過ごせてたのに」

「そんな事ないよ」

「一流商社に就職していたかもしれない」

「ないない」
三流そば屋ですわ。

「そんな可能性を僕は奪ってる。まだ若いのにもう子持ち」

「それは私の選択だもん」

「それに、気にはしていないつもりでも、郁美さんは亡くなった妻を気にしている」

これには
言葉が詰まった。

< 271 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop