隣に座っていいですか?
「出会えてよかった」
誠実な声が私の額にふりかかる
「私も」
結婚して
一年になるんだね。
「桜が元気に笑って過ごしてくれるのは、郁美さんのおかげです」
「それだけじゃないよ」
紀之さんの溢れるほどの愛情で
桜ちゃんはスクスク育ってるんだよ。
そして
私も育ってる。
「亡くなった奥さんも見守ってる」って言うと、素直に『うん』って言いながら自分の唇で私の唇を探す。
「郁美さんが現れなかったら、ずっと彼女に対して、先に逝ってしまった恨みと悲しみしか出なかった」
大切な人が目の前からいなくなるんだもん。喪失感しかなかっただろう。
「ずっと傍にいて下さいね」
「……うん」
キスをしてると
ん?
耳元で聞こえる
階段を走ってる軽い足音。
「寒かったー」
可愛い声が聞こえるよ。
「こっちに入なさい」
彼が声を出すと
桜ちゃん
再び登場。
私と彼の間に
可愛い可愛い娘が飛び込む。
「あったかいねー」
三人
くっついてたら温かいね。
ずっとずっと
くっついて
温かくして
幸せになろうね。
【完】


