隣に座っていいですか?
扉を静かに閉めて
自分の部屋に戻る

桜ちゃんのお願い。

そんな
いや……ダメでしょう。
これでも私は女だし
あれでも田辺さんは男だし

ここは
明日の朝「お父さんは元気だったよ」って見てないけど見たふりをして……嘘をつく。

桜ちゃんに嘘をつく。

嘘は……つけない。





あぁ

もう!知らない!

私は薬箱から大人用の風邪薬を持ち、隣りの家の門をくぐる。

玄関
開いてなかったら
桜ちゃんにきちんと言える。

手を伸ばし
扉を開くと……開いてるし。
鍵かけてないし

泥棒入るよ!

私は「お邪魔します」と大きく言い、リビングへ入ると

今日
この家を出た時のままの姿で
田辺さんを発見。

ソファの上で
寝込む男がひとり。

そっと近くに寄り
額に手をのせる

熱はなさそう。
あっても微熱だろう。

いや
微熱でも田辺さんにとっては高熱になるのか?
この人
平熱何度なんだろ。
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