睡魔をイケメンに擬人化してみた
「おおう、おおお・・・」
つい、ヨダレともうめきとも言えぬ心の声が漏れる。
―これは布団に入りたくなるはー!!覆い被さられたいはーー!!
発想の転換が勝利を産みだす瞬間であった。
もはやなつみは興奮を抑えきれなくなっていた。
黒豹男子は好奇心を持った目でなつみを見つめている。
―み、見られている…!!
黒豹男子の視線が体に刺さり出し、なつみは一気に赤面した。
―やばい!顔が熱い!
顔だけでなく、背中からも汗が吹き出ているのを感じる。
イケメンに、こんなにも自分という存在をしげしげと見られることなんて、初めての経験だ。
―何この圧倒的な感じ。こんな美男子と添い寝するイメージを広げろというの?
黒豹男子は無言のままだ。
ただ明らかに、彼の目は熱を帯び、なつみの全身をゆっくりなぞっている。
―うわ、うわわ。体を見られている。もしかしてもしかして、この人も私とイチャイチャしたいとか思ってるの?
そもそもなつみの妄想なのに、何を言っているのか。…というつっこみは、なつみの耳には届かない。
テンパっている自分の状況とはうらはらに、
なつみは刹那の速度で目の前の黒豹男子とのイチャイチャを想像した。
しかし、それはあまりに刹那すぎた。
なつみの妄想力にかかれば、この幻覚が完璧ではないことに気づくのは時間の問題であった。