睡魔をイケメンに擬人化してみた
―睡魔なら?
それは一瞬のひらめきだった。
「睡魔」。
それは普段、仕事中になつみを困らせる、あの厄介なものである。
この眠気が夜に来てくれれば、と何度思ったかしれない。
―睡魔なら、架空の生き物だから、もっともっと好きな外見にできるのでは?
魔という漢字がついているくらいだから、悪魔っぽく角だって生やせるし。
そう、二次元にしかいないようなイケメンにも。
たとえば透き通るような銀髪も、切れ長二重でアンニュイな瞳も。色白で、バランスよくついている全身の筋肉も妄想可能だ。
―睡魔が動くたびに装飾品がこすれて音が鳴って、体からは春の野原みたいないい匂いがする、とか。
そしてパソコンをいじる私を、後ろから優しく抱きしめて、腕を絡めてきて、
「なつみ、もうこんな時間だよ。早くイチャイチャしようぜ?」と布団へ誘ってくれるの!
そうしたら「え~。しょうがないなあ…」と言いながらも、パソコンの電源を切るのでは。いや、俄然切りますよ!
―お布団まで、リードしてくれてこそイケメン!
―これぞ安楽!!これぞ至福!!
なつみは睡魔をイケメンにする妄想を始めた。