なんで俺じゃあかんねん

みんなびっくりして、ぽかんと口をあけたまま。

リキトだけは笑いをこらえるように下を向いている。

・・・肩揺れてるの見えてるから。


俺は続ける。

「特技もないし。そこまで可愛いわけでもないし。

性格も悪いほうやな。」


「ハル、なんで好きなん・・・？」

斉藤が聞く。

俺は目だけ斉藤の方へむけた。


「わからん。」

「わからんの！？」

わからんな・・・。

全然わからん。




・・・・でも。


「でも。

そいつが俺の前からいなくなるのは、考えられへんし

そいつと離れ離れになるのなんか、想像もできへん。」




葵は、そばにいるのがあたりまえ。

葵が、誰かのものになって俺から離れるなんて、絶対耐えられへん。

そうなったら、俺はきっと狂ってしまうやろうな。