なんで俺じゃあかんねん
__ピーーーーッ
開始音が体育館に鳴り響く。
ボールが動き出した。
最初にボールを持ったのは、藤堂先輩。
藤堂先輩は、本当にPGらしいPGで、ゲームメイクがすごく上手い。
藤堂先輩のおかげで、チームメイトはすごく試合がやりやすそうだ、といつも思う。
まあ、逆に、今回みたいに敵だとこっちはすごくやりにくいんやけど。
スタメンを平等にどちらにも加えた今回の試合。
どっちが勝ってもおかしくない。
・・・大丈夫。
客観的に見ても、俺の技術はこの中で目立って劣ってるともいえんし。
変な緊張はすんな!!
自分を信じろ。
それに、いろんな意味でチャンスや。
俺は視線を真田先輩に向ける。
真田先輩は敵チーム。
はじめて正々堂々とバスケで戦える。
喜ばなあかん。
こんなに早く、その機会を得られたことを。
「坂井!」
相手のバスカットをして、そのまま同じチームの先輩が俺にパスを回してくれた。
よし!
いくで・・・・!!