なんで俺じゃあかんねん
「でも、慣れてるから。」
そう言って雅さんは俺から視線をはずす。
なんか・・・なんか・・・
なんかさ・・・それってちがうくないか?
雅さんのあきらめたようなそのしぐさは、
他人ごとじゃなくて
自分の好きなモノのはずなのに、それを他人に強制される。
それって、やっぱり・・・
なんか、ちがうやろ?
でも、それを俺が言う権利はない気がして、なんとも言えず黙り込む。
「今から早退して、いろいろ決めないと。
だからごめん。
今日の委員会でるの難しそう。」
「それは、大丈夫やけど。
文化祭自体は?参加、できそう?」
「うん!それは大丈夫やと思う!
楽しみやし、文化祭を糧にコンクールの練習もがんばるつもり。」
文化祭のことを出したら、少し表情が明るくなった。
ほんまに楽しみなんやな・・・。
「いつなん?そのコンクールは。」
「夏休みに予選があって、本選は2学期かな。」
なら、文化祭は6月やし大丈夫そうかな。
よかった・・・。
「そっか。がんばれ。」
「うん、じゃあまた明日。」
そう言って教室の方へ去っていった。