なんで俺じゃあかんねん
「いや、俺らはもうちょっとしたら帰るわ。」

リキトの声に他二人も同意した。

それを聞いて、ちょっとうれしくなる。

「坂井先輩は、勉強しなくていいんすか?

2年も期末の期間一緒ですよね?」

「んー。まあ、一応してるけど。

そこまで根詰めんくても大丈夫かな。」

「葵はこつこつしてるからな。」

中学のときから、葵は成績よかったし。

高校も、もう少し頑張れば一個上のランクの高校行けたのに、

『無理して上の高校行って底辺におるより、身の丈にあったところ行ってこれまで通りのペースで勉強したい。』
って言ってM高を選んだ。

そんな葵やから、テスト前やからと俺みたいに必死になる必要もないんやろう。

「えー!やったら先輩お願い!!

ちょっとでいいから勉強教えてください!!」

そう言って顔の前で手を合わせる遼に葵はびっくりしている。

おいおい!なに言ってんねん!!

予想外の言葉に俺もびっくり。

「え・・・いや、ええんか?そんなん・・・。」

斉藤は、初対面ということもあってか遠慮が出ている。

「葵ちゃんが良ければ、俺からも頼むわ!」

リキト!?

なんでかリキトは反対すると思ってたから意外。

俺が見ていると、こっちを見てニヤッとわらった。

え・・・もしかして、俺のため?

なんか複雑な気分になってくる。
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