なんで俺じゃあかんねん
葵はしばらく考えるような顔をしてから「いいよ。」と、予想外に引き受けた。

買い込んできた食材を冷蔵庫に仕舞うと、こっちへ来て俺たちの輪に入ってきた。

まじかよ・・・。

「今なんの教科やってんの?」

「先輩、ほんまにいいんですか?」

斉藤はまだ少し遠慮している。

「うん。大丈夫。えっと・・・斉藤くん?やっけ。」

「はい。」

「斉藤くんはどこかわからへんとこある?」

「いや、俺より遼とハルを・・・。今は英語やってます。」

斉藤に教科書を渡されて、葵はのぞき込んだ。

「あー。今ここやってんねや。

thatの構文やね。」

「はい。」

「で、どこがわからんの?」

「意味がさっぱりわかりません。」

へへっと笑う遼に、葵は飽きれてため息をついた。

「ハルは?」

急に話を振られてびびる。

「俺も・・・。最初っからわからん。」

またため息。

「とりあえず、遼くんにまず教えるね。

ハルは、みんなが帰ってからでもできるから。ごはん食べたあととか。」

え・・・。

それって、二人でやるってこと!?

過剰に反応している俺を放ったらかしにして、葵は遼に英語を教え始めた。


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