なんで俺じゃあかんねん
そして、その日はついに明日にせまり。

ずっと言えなかったけど、ようやく葵に打ち明けたのが今。

「はあ・・・

それ聞くと、私が余計なメモ入れたのも一因なんや。」

「余計じゃない。うれしかったからOK。」

伝えると、葵もうれしそうに笑う。


「とにかく、もう決まっちゃったし明日のための変装考えるわ。

部活が終わる頃に学校の最寄り駅に行けばいいんでしょ?」

「うん。暑いし、待合所にでもおって。

さらっと紹介したら、すぐに逃げよう。
二人で帰りたい、とか言ったらいいやろ。」

「そうやな。」


状況が状況だけど、部活が終わって葵が迎えに来てくれるのは楽しみだ。

明日の部活も頑張れる。


そんなこと言ったら、きっと葵は呆れるけど。


「ごめんやけど、頼むわ。」

「ううん、大丈夫。

それに、ハルの友達に紹介されるってちょっと嬉しいし。」

そう言って微笑む葵が可愛くて、頭をなでる。


「ハルって、頭撫でるのくせ?」

「そうなんかな?

こうして俺のが背高くなって葵より体が大きくなったのがうれしいんかも。」

「ふふっなにそれ。せっかくやし、買ってきてくれたプリン食べよう。」


キッチンへ向かう背中を見ながら、小さな葵を守りたいと思った。

明日はそのための一歩。








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