なんで俺じゃあかんねん
・・・あれか?

もともとこの駅はそんなに人がいる方じゃない。

使うのはM高の生徒がほとんど。

待合所に一人、制服でもジャージでもない女子が座っていたら目立つ。

たぶんあれ、やけど・・・。


その女子は茶色い髪を巻いて、大きめの丸眼鏡をかけている。

服もちょっと森ガールちっくで、いつもの葵の格好じゃないけど、たぶん葵。


「ハル、あの子?」

遼が興味津々に彼女を指さす。

「あ・・・うん、たぶん。」

「たぶん、て・・・なんやそれ。」

いやだって。

変装とは言ったけど、思った以上にいつもの葵と印象が違うから。


ぞろぞろと待合所に入ってきた俺たちを見て、その子は立ち上がった。

こっちを見て、視線があった瞬間。

やっぱり葵だ、と確信する。


だいぶ印象違うけど。

髪はこんなに明るくないし、眼鏡もかけてないし
あと・・・なんか目も茶色い?

いつもよりばっちり化粧もしてて、大学生くらいに見える。


たしかにこれなら、リキトはともかく数回顔を見ただけの遼や斉藤は誤魔化せるかも。



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