なんで俺じゃあかんねん
なんとなく、そのまま帰りづらくて

あいつらと同じ電車に乗るのも気まずくて・・・


俺たちは反対方面の電車に乗り込んだ。

「海でもいく?」

変装した葵となら、こんな学校の近くでもデートができる。

にこっと笑って頷く彼女に俺も笑顔を返して、
3駅先の海岸へ向かうことにした。




電車の中。

葵と手をつないだまま隣同士に座る。


こうしてると、きっと誰も姉弟だなんて思わない。

俺たちは、立派なカップルに見えているだろう。


それがうれしくて、なんか恥ずかしくて

でもやっぱり幸せで。


ただ、座ってるだけやのに

葵が近くにいるそれだけで、この空間は、俺にとってもう特別。


握っている手にまた力をこめると、葵はこたえるように俺に少し体重をあずける。

その温かさが、重みが、想像以上に心地いい。



ずっとこのままでいたい、と思うほどに。


< 481 / 485 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop