なんで俺じゃあかんねん
俺は、葵の頭を引き寄せて、そのまま撫でる。

最低だ、とうつむくその姿さえ愛しい。


そんなに前から俺のことを想ってくれていて
ずっと苦しんでいた。

そう思うと、たまらなくなる。


「葵。」

今までで一番優しく名前を呼んだ。

彼女が、少し泣きそうな瞳で俺を見上げる。


至近距離でみた瞳が、すごくきれいで

すごくかわいくて

ああ・・・やっぱり、めっちゃ好きやねんな~。


俺、ほんまに、こいつのことが大事で仕方ない。

たとえ、誰かを傷つけても、葵のことは守りたい。

誰かが苦しい思いをしていたとしても、葵を離すことはできへん。


「葵が最低なら、俺も最低やから。

葵が好きやのに、好きじゃないって嘘ついて
他の女の子好きになれたらいいって思ってた。

無理やのに・・・
こんなに好きな女、一人しかおらん。」


「ハル・・・!」


葵は、我慢できない、といったように俺に抱き着く。

俺もそれを受け止め抱き返す。


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