なんで俺じゃあかんねん

その日の夜。

俺は夕食のときもひと言もしゃべらずにすぐに自室に帰った。

何回か葵と家ですれ違っても無視した。

ガキやと思うけど、なんか謝るのは嫌や。

謝ったら、弟を認めることになるような気がして。

でも、葵がちょっと傷ついたみたいな表情するから胸が痛む。

俺らはよく喧嘩するけど、次顔をあわせたときには、もうなんともないって感じが多いから。



風呂からあがってベットに転がってたら

ノックの音がした。

「ハル?あたし。入ってもいい?」

葵の遠慮がちな声。

「なに?」

応えると扉が静かに開いて、葵が入ってきた。

後ろ手で扉をしめて、立ったまま俺を見ている。

その視線に気づかないふりしたまま天井を見ていた。

「なあ、ハル。

まだ怒っとん?昼間のこと。」

「別に。」

俺が言ったあと、また沈黙。

ちらっと葵を見てみるとうつむいてて表情がわからん。


< 59 / 485 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop