なんで俺じゃあかんねん
その日の夜。
俺は夕食のときもひと言もしゃべらずにすぐに自室に帰った。
何回か葵と家ですれ違っても無視した。
ガキやと思うけど、なんか謝るのは嫌や。
謝ったら、弟を認めることになるような気がして。
でも、葵がちょっと傷ついたみたいな表情するから胸が痛む。
俺らはよく喧嘩するけど、次顔をあわせたときには、もうなんともないって感じが多いから。
風呂からあがってベットに転がってたら
ノックの音がした。
「ハル?あたし。入ってもいい?」
葵の遠慮がちな声。
「なに?」
応えると扉が静かに開いて、葵が入ってきた。
後ろ手で扉をしめて、立ったまま俺を見ている。
その視線に気づかないふりしたまま天井を見ていた。
「なあ、ハル。
まだ怒っとん?昼間のこと。」
「別に。」
俺が言ったあと、また沈黙。
ちらっと葵を見てみるとうつむいてて表情がわからん。