なんで俺じゃあかんねん
「・・・やっぱり、怒ってるやん。」
ちょっと泣きそうな声でうつむいたまま言う。
俺、けっこうその声に弱いねんけど・・・
そのポーズも。
そうやって縮こまって泣きそうになってる葵は、
まあ・・・・なんていうかほら・・・
・・・可愛い、し?
って何思ってんねん、俺。
はずかし!一人で・・・・
アホや。めっちゃアホや!
「どしたん?」
いつのまにか顔をあげていた葵が俺を不思議そうに見ている。
「なんか顔赤いけど。」
「はあ?赤くないし。光の反射やろ。」
俺は目を逸らして言う。
「あ、そう。」
興味なさそうに俺から視線をはずす。
「ねえ。」
「な、なに?」
「ほんまにどしたん?」
「別にどうもしてない!んで、なんやねん!?」
無理矢理話を進めることにする。
「なにキレとんよ~。」
ムッと唇を突き出す。
「まあ、ええわ。
あたしな、ハルにはいっつもめっちゃムカつく。」
こいつ、謝りに来たんちゃうんかい?
「でも、ハルのことはちゃんと弟って思ってるから。」