なんで俺じゃあかんねん


みんなが順にくじを引いていき、俺も引いた。


・・・嘘やろ。

そして、たった今開いた紙を見て固まる。


「あ、坂井くん。あたりな。」

それを見ていた横山さんがニヤッと笑って言う。


「俺、無理。」

絶対無理!

文化祭って、確かインターハイの時期ともろかぶりって聞いたし。

そんな大事な時期に部活に行けないなんて、冗談じゃない。


「無理は無理。

はい、男子は坂井くん!決定~。」

横山さんは笑いながら黒板に俺の名前を書いた。



まじかよ・・・。


「うっそ!ハル、あたったん?」

一番前にいた斉藤が俺を見て笑う。

「・・・黙れ。」

「おまえ、なにが『くじ運いい』やねん。」

「だから、黙れって。」


・・・・ホンマ、最悪。



しかし次の瞬間


「え?!坂井くんなんやったら、あたしやってもいいよ!」
「ウチもウチも!やる~!」
「私も別にいいで~!!」

くじを引き終わったはずの女子が数人立ち上がって前に詰め寄ってきた。


・・・・はあ?


「そんなのなしやって!もうくじ引き終わった人は諦めて。」
「ホンマや!チャンスは一回きり。」

今度はそれに対抗してまだくじを引いてない女子数人が立ち上がる。


な、なになになに!?

ちょっと、なんなん?


おまえら、やりたくなかったんじゃないん?

それなら、俺と代わってくれよ。
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