なんで俺じゃあかんねん
「雅 葉月っていったら
今、音楽界で一番注目されてる天才少女やん!!」
遼の言葉にますます疑問が生まれた。
「は?天才?なんの?」
「ホンマに知らんかってんな~!」
え、斉藤まで知ってることなん?
俺知らんで?
「まあ、ハルは昔っから自分が興味ないことにはホンマに無頓着なとこあるから。」
リキトまで呆れてるし。
「そんな有名人なんか?なんの天才やねん?」
「雅 葉月っていったら、天才ピアニストやろ!!」
「ピアニスト?」
ってことは、ピアノひけるんか・・・・。
すごいな~。
斉藤が、ドヤ顔している横で、呑気にそんなことを思った。
「俺もよくは知らんけど、
10歳で国際ジュニアピアノコンクールで優勝して
それからずっと、コンクールに出るたびに1位しかとらんっていう噂やで。」
「マジで?」
こ、国際!?
ってことは、世界で1位・・・・。
しかも、10歳!?
「うん。でも最近はコンクールにでてないらしいけど。」
「俺もびっくりしたで。
おんなじ名前の奴がクラスにおると思ってたら同一人物やねんもん。」
リキトが興奮したように言う。
「俺全然知らんかった!おまえら、言えよ!!」
俺だけ知らんとか・・・
なんか悲しい。
「いや、知ってると思ってたし。
だいたいこのメンツでそんなおしゃれな話題にはならんしさ。」
「それは、そうやけど。」
でも、なんか・・・・
俺だけまったく知らんかった。
ショックや。