なんで俺じゃあかんねん
「だって、ハル!
雅さん、何回か教室で囲まれてたやん。
見てなかったんか?」
とリキト。
「え?そうやっけ?」
「そりゃ、見てないって!ハルも囲まれてんねんから、見えるわけない。」
斉藤がそう言って「そうやな。」とリキトが呆れ笑い。
俺別に、そんないつも囲まれてるわけじゃないねんけどな・・・・。
でもそれで気づかんかったんかな?
「それにしても、ええな~ハル!」
「なにが?」
「だって、雅さんみたいな世界的有名人と仲良くなれるねんで!
しかも、雅さん美人やし。」
遼は相変わらず人懐こい笑顔で茶色い髪の毛を揺らす。
「まあ、確かに美人は美人やったけど・・・。」
「お!!ハル、彼女候補か!?」
からかってくる斉藤に
「いや~さすがのハルでも、雅さんは無理やろ~!!」
と答えたのは俺ではなく山木。
「せやな~。規模がちがうって。」
横にいた飯島もそう言ってまた水筒を傾ける。
「いや、別に俺、彼女にしたいとか思ってないから。」
なんで、高校生って男女関係なくすぐこういう話題になるんかな~。
俺の恋愛事情が事情だけに、複雑な気持ちになるんやけど。
「おい!1年。給水終わりやぞ!!」
キャプテンがやってきた。
「はい!」
「すいません!!」
「すぐ行きます。」
はあ・・・・
なにはともあれ、この話題が終わってよかった。
でも、俺はそのあとの練習中もどうも雅さんが気になって仕方なかった。
いきなりそんな有名人やって知らされても、どうしたらええかわからん・・・・。