桜縁
後ろにいた美佐に目を向け、無事を確かめる。
「姫様…。」
三人は無事に再会を果たし、しばしその感傷に浸っていた。
月は土方の使いで街へと出ていた。
墨を切らしたらしく、その墨を買いに行く。
すると見回り組に追われている男を見つける。何事かと思い、月はその後を追った。
しかし、その途中で姿を見失ってしまう。気がつけば周りは人気のない開けた場所にいた。
「…………。」
辺りを見回すが誰もいない…。
呆然と立ち尽くす月。しかし、すぐに後ろから放たれる殺気に気がつき、振り向くと同時に抜刀する。
ーーーキーン!
辺りに金属がぶつかり合う音が響き渡る。
「!」
刃を向ける相手は見知らぬ男であった。男は間合いから素早く立ち退く。
「こんな所まで後をつけてくるとは、お前もさっきの仲間か!?」
「えっ…!」
仲間……?
いったい何のことだろう。それに異常までに放たれる殺気。
まずい!このままではやられてしまう。
「刀まで扱うんだ!とぼけるんじゃない!!」
「!」
ーーギン!
「うっ…!」
放たれる刀のあまりの重さに、月は受け止めるので精一杯だ。月は後方へと弾かれてしまう。
「これで終わりだーー!!」
男は容赦なく月に切り掛かって来る。
急いで体制を立て直そうとするが間に合わない。
「ーー!」
「以蔵!斬るなーーーっっ!!」
「!?」
何処からか聞こえた叫び声に、以蔵と呼ばれた男の刀がピタリと止まった。
驚いて声のした後ろの方を見ると、三人の男達が姿を現した。
「龍馬!それに師匠…!」
思いがけない事に驚いている以蔵の元に三人がやって来る。
「むやみに人を斬ったらいかん!と言ったじゃろうが?」
「なにを言っている!こいつはあいつらの仲間だぞ!?敵を斬るのは当然のことだ!」
「ほう…。その敵さんとやらは誰じゃ? おっ?」
「これはまた…女子ではないか。」
「…………。」
龍馬と師匠と呼ばれる男が月を見下ろす。月はそれを黙って見据えていた。
他の者達は気づかないようだが、龍馬は月の顔に見覚えがあった。
「お前は…!あの絵の娘さんじゃないか!なんでこげなとこに…!?」
この出会いこそが、月の運命を大きく変えることに、月はまだ気づかずにいた…。