桜縁
そしてそれを、離れた所から近藤と土方が目撃することとなる。
気を高めて、一歩斎藤が足を踏み出す。
「!」
それに月が反応したと同時に、斎藤が月に襲い掛かって来た。
「!!」
月はその刀をあっさりと交わし、まるで舞を踊るかのように、斎藤の背後へと回り込む。
それに、つられるように斎藤も振り向いたき、刀を翳したが………、
「なっ……!!」
「………!」
皆の目が追いつく前に、決着がついていた。
「………。」
背後に回り込んだ月の木刀が、斎藤の首を捕らえていたのだ。
この世に武士は多いけれど、こんな剣の使い手は今までに見たことがなかった。
「すっげー!!すっげーよ 月!!」
「あっという間だったな……。」
「これなら確かに、殿様の前に連れて行っても、文句は言われねぇよな……。」
さっきまで反対していた原田達も、これには納得せざるをえなかった。
これなら、殿様の前に出しても、女だからと何か言われたりされたり、浪士組の評判が落ちたりすることもないだろう。
むしろ、その逆となってしまいそうだ。
「ほうーー!凄いものだな!」
「……!」
「近藤さんに土方さん!」
境内の階段を下りてやって来る。どうやらさっきの勝負を見ていたようだ。
「さっきの勝負を見させてもらったぞ。君は女の子だというのに、すごい力を持っているのだな!大したものだ!」
近藤は満足そうに、ウンウンと頷いていた。
「だろ!?月はすっげー力を持ってんだぜ!」
「斎藤を打ち負かすとは、大した者だ。」
「そうだ!君も試合に参加したらどうかね!?」
「はあっ…!?何言ってんだ近藤さん!こいつは女だぞ!?」
まさか、女を試合に出すとは、土方も予想をしていなかったらしい。
「女でも構わん。素晴らしいものを持っているのだ。それをぜひ、会津の方々にも見ていただきたい。」
「よっしゃーー!これで、決まりだな!」
局長の許可が下り、はしゃぐ平助。
「おいおい、ちょっと待てよ近藤さん…!こいつは隊士じゃねぇんだぞ?それに、いつまでいるかも分かんねぇ奴を、表舞台に出すわけにはいかねぇだろ!?」
「むむ…!いかんのか?」
「当たり前だろうが!何を考えてんだよ!?」
「でも、その子の腕なら、浪士組にとってはいい宣伝になると思いますけど……?」