桜縁
「山南さん!?」
いつもの黒猫を腕に抱きながら、ニコニコしている山南がやって来る。
「山南さんも見てたのか……?」
ちょっと予想外の展開に驚く皆。
「はい、少しだけですが、なかなかの腕前ですね。女であるのがもったいないくらいです。」
「ま、確かに、この腕なら会津の殿様だって、文句は言わねぇな。」
「原田まで……!お前らな……。」
「よし!なら、ことの責任は俺が持とう!だから、君は遠慮せずに存分に力を発揮してくれ!たのんだぞ?」
近藤は優しく月の方を叩く。
周りの者達も月の試合参加には、賛成してくれたようだ。土方もそれ以上は何も言わなかった。
こうして、月も共に会津藩邸へと出向くこととなった。
第一試合は平助と土方である。
殿様を含め、会津の者達が揃って、試合に出席していた。
「近藤君、君の道場の者達は、いつもにまして、いい試合を見せてくれるのだろうな?」
「はい、もちろんでございます。彼らならきっと、見応えのある試合を見せてくれるはずです。」
「ほう……。」
「始め!」
太鼓の合図と共に、平助が地面を蹴り、土方へと詰める。
しかし、それを土方はあっさりと交わし、逆に平助の攻撃を跳ね返す。
「うわっ!」
その反動で後方へと下がる平助だが、しっかりと攻撃を防いでいた。
ニヤリと笑う平助。土方も笑っている。
久々の手合わせはやはり楽しい。
絶対負ける気などしない。
「でりゃーーーー!!」
平助は一気に土方との距離を縮めて、迫るが、すでに土方の間合いに入っていた。
「!」
木刀が激しくぶつかり合う音が、空へと響き渡って行った。
「ててて………!」
試合が終わった平助が、頭を抱えながら戻ってくる。
「よう、平助おつか……。」
「?」
「……いや、いい試合だったよ。」
「………???」
小首を傾げる平助だが、土方に一太刀浴びせられたようだ。
それで持って、第二試合は斎藤と永倉である。
殿様達は斎藤の左利きを不思議がって、興味津々であったが、永倉との勢いのよい試合を繰り広げ、斎藤が一瞬の隙をついて、あっという間に勝ちとなった。
あまりの凄さに、会津の者達も息を飲んでいた。
第三試合は沖田と山南である。