理想の男~Magic of Love~
そう言った後で、藤は彼女に背中を向けた。

「あ、ちょっと!?」

彼女が藤の背中に向かって言った。

それに対して、
「終電がなくならないうちにさっさと帰れ、蘭」

藤は言い返した。

ラン?

間違いなく、この人の名前だよね?

彼女――蘭さんは、
「じゃあ、せめて」

藤の腕に手を伸ばした。

彼女の手が藤の腕に触れそうになった瞬間、
「――やめて!」

私は思わず叫んでいた。

その声に、1番驚いたのは私自身だった。

私は慌てて、隠すように手で口をおおった。

…私、今何て言ったの?

「――誰…?」

蘭さんが初めて、私の存在に気づいた。

「愛莉は関係ないだろ」

藤が蘭さんの視線から隠すように私の前に立った。
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