† Lの呪縛 †
クレアはフーッと小さく息を吐き、ティーカップへと視線を落とした。



「オリヴィアを外に連れ出すなんて、僕は反対だよ」



顔を上げたクレアは苦笑いを浮かべた。


ー本当にオリヴィアに対して随分過保護だこと。 この子ったら、いつからこんなに過保護になってしまったのかしら……。ー


クレアは若干呆れつつも、妹を大切に思う気持ちに変わりないのだから、喜ばしい事だと思った。



「一刻も早く、黒幕を捕まえたいのよ」

「それは、オリヴィアを餌にするという事?」



ノエルは目をスッと細め、その瞳には怒りの色が宿っていた。


相手が母親だという事も忘れ、今にも殴り倒したい衝動に駆られた。


膝上で握り締めた拳は力がこもる程に、震えが強くなっていく。



「このまま籠の中の鳥だなんて、幾ら何でも可哀想だわ……」

「もしもの事があってからでは遅い……僕はそう思う」

「先々の事を恐れていては、何も変わらないわ。 仮に万が一の事が起きたとしても、私たちが絶対にあの子を守るの。 そうでしょう?」



ノエルの低く怒りの篭った言葉に対し、クレアは冷静かつ厳しい口調で言葉を返した。






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