† Lの呪縛 †
冗談で言っているのかと思いきや、ノエルの瞳は至って真剣だった。



「いい加減になさい」



クレアは呆れた声でそう言い放った。


過保護もここ迄くれば、考えものだとおもった。



「貴方がいては、オリヴィアは貴方を頼ってシンシアたちと歩み寄ろうとしないでしょう」

「…………」



ノエルは思わず「それでいい」と、口から零れ落としてしまいそうだった。


強い独占欲に戸惑いを覚えつつも、どうする事も出来なかった。


それ程迄にオリヴィアの虜になっていた。



「私がついてるんだから、心配せずとも大丈夫よ」

「……分かったよ」



ノエルは納得はしていないものの、小さく答え席を立った。


ピリピリした空気を隠す事なく露わにし、無言でテラスを後にした。


ーあの子……まさかね。 そんなはずないわよね。ー


頭を過った考えを振り払う様に、クレアは静かに頭を振った。


ノエルにとってオリヴィアは可愛い妹。


それ以上でもそれ以下でもない。


愛する妹を心配するが故に過保護になり過ぎているだけ。


自分に言い聞かせる様に何度も何度も心の中で呟いた。





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