† Lの呪縛 †
その夜、スタンドライトの温もりのある明かりに照らされ、いつもの様にレッドフォード伯爵夫妻が腰にフカフカの枕を挟み、ベッドに腰掛け話をしていた。



「今度、オリヴィアを連れてシンシアの御宅へお邪魔する事にしたわ」

「オリヴィアを連れて行くのかい?」

「危険な事は分かってるけれど、あの子にもっと広い世界を見せてあげたいの。 まさかあなたまで反対しないわよね?」

「っと言う事は、ノエルは反対したのか?」



レッドフォード伯爵はクレアの肩を抱き寄せ、頭を寄せた。


クレアの肩を優しくさする仕草から、レッドフォード伯爵の妻を労わる心がうかがえる。


この屋敷の当主、ダグラス・レッドフォード伯爵は生まれながらの貴族であり、自身で貿易会社を営む実業家でもある。


整った顔に、鍛えられ引き締まった体のせいか、歳よりも若く見える。



「ノエルはまだ早いって言うのよ?」

「あいつはオリヴィアを可愛がっているからな」

「それにしたって……過保護過ぎるわ」



クレアは言えなかった。


ノエルがオリヴィアに対して、妹以上の感情を抱いているのではないか……という事を。


言ってしまえば、何かが崩れてしまう様な気がしたから。





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