† Lの呪縛 †
屋敷に戻ったダグラスは、真っ先にオリヴィアの部屋へ向かった。


部屋に入ると、オリヴィアの眠るベッド脇でクレアが椅子に座っていた。



「お帰りなさい。 早かったのね」

「ただいま。 オリヴィアの具合は?」

「熱も下がってきているみたいだから、明日明後日には良くなると思うわ」

「そうか、それは良かった。 疲れただろう? 私がオリヴィアの傍についているから、少し休みなさい」

「えぇ、そうするわ」



ダグラスとクレアは軽く口付けを交わすと、クレアは部屋を出て行った。


ダグラスはコートを脱ぎ、シルクハットを取ると、先程までクレアが座っていた椅子に腰掛けた。


頬を高揚させ、息遣いが荒くなっているオリヴィア。


眠っているだけなのに、とても辛そうだった。


事件の次の日、オリヴィアは高熱を出し寝込んでしまった。


医者に診てもらい、薬を処方してもらったが、ネヴィル曰く『薬など無意味だ。 自然に良くなるのを待てばいい』との事だが、そんな事をクレアやノエルに言える訳がなく、ダグラスは今も医者にオリヴィアを毎日診させている。


症状や時期的なものも含め、恐らく風邪だろうと診断された。


ダグラスがオリヴィアの頬に触れると、オリヴィアの瞼がゆっくりと開いた。



「すまない、起こしてしまったね」

「お父、さま……」

「良い子だから、そのまま寝ていなさい」



ベッドから起き上がろうとするオリヴィアの身体を、ダグラスは優しく制した。





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