† Lの呪縛 †
ダグラスがオリヴィアのてを握ると、オリヴィアはばつが悪そうに目を伏せた。



「何故、何も言わなかったんだい?」

「…………」

「オリヴィア、私が怒っているのは分かているね?」



オリヴィアは小さく頷いた。


目を伏せたまま、ダグラスの顔を見ようとしない。



「何故怒っているか分かるかい?」

「……勝手な事をしてしまったから」



か細く弱々しい声は震えていた。


ダグラスがオリヴィアの頭に触れると、オリヴィアは身体をビクつかせた。



「勝手な事をした事に対しても怒っているが、周りのことを考えずに行動した事に対して一番怒っているんだよ」

「…………」

「オリヴィア、こっちを見て」



オリヴィアはおずおずと顔を上げ、ダグラスの顔に視線を向けた。


心なしビクビクしていたオリヴィアだが、ダグラスの顔を見て身体の力が抜けていく。


穏やかで、困った様な顔をしていたからだ。



「お前にもしもの事があれば、私もクレアもノエルも涙を流し悲しんだだろう。 周りに悲しむ者がいるという事を忘れないで欲しい」



オリヴィアの視界がどんどんぼやけていく。


大きな瞳に溜まった涙が、瞬きと共に流れ落ちる。





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