† Lの呪縛 †
夜になり、オリヴィアが乗る馬車が辿り着いた場所は、とても煌びやかで人で賑わっていた。



「大丈夫だよ。 僕たちがついてるから」



馬車の中に手を伸ばすノエル。


戸惑いながらもノエルの手を取り、オリヴィアは恐る恐る馬車の外へ足を踏み出した。


子犬の様に震えるオリヴィアを見て、ダグラスもクレアも可笑しそうに笑みを漏らす。


ダグラスとクレアは人とすれ違う度に軽く挨拶を交わしている。


オリヴィアはノエルに手を引かれながら、後ろからその様子を眺めていた。


周りの者たちは物珍しいものでもみるかの様に、オリヴィアに目を向けている。


緊張のあまり余裕のないオリヴィアはその事に気が付いていなかった。


ダンスホールに足を踏み入れると、一斉にオリヴィアに視線が注がれた。


流石にその事に気が付いたオリヴィアは、隠れる様にノエルの背中に寄り添った。


ノエルはオリヴィアの手をしっかりと握り、安心させる様に微笑みかける。



「オリヴィアが綺麗だからみんな見てるんだよ」



リラックスさせようとしてくれているんだと感じたオリヴィアは、頑張って笑顔を作った。


その笑顔は可愛らしいものだったが、多少なりとも強張っていた。





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