† Lの呪縛 †
シドとオリヴィアが踊っているところを、周りの者たちは自然と目で追っていた。


踊っていた者たちも足を止め、二人の姿に見惚れている。



「それにしても……ビックリしちゃった。 シドお兄様が笑うなんて……」



キティの言葉に皆が頷いた。


一番驚きを露わにしているのは、ルーズヴェルト公爵家の三人だ。



「相手がシドさんじゃ俺に勝ち目ないじゃん……」



一人肩を落とすカーティスに、誰も励ましの言葉をかけることが出来なかった。


普段言い合い出来る程の仲のキティですら、掛ける言葉が見つからない。


慣れないダンスを一生懸命こなそうとするオリヴィアの姿を、ノエルは目で追ってしまう。


自分以外の男と踊っている姿など見たくはないのに、目を逸らす事が出来ず、拳にグッと力が入る。



「ダグラスとクレアのお嬢さんだったら、私は大歓迎だわ」



ヴァネッサの言葉に皆ギョッとした。


家柄や容姿に口うるさいヴァネッサが、こんなにも快く誰かを受け入れるのは珍しい事だ。



「あら、私おかしな事言ったかしら?」

「ヴァネッサの言う通り、私もあんなに可愛らしいお嬢さんだったら、いつでも我が家に迎え入れよう」





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