† Lの呪縛 †
オリヴィアの手を引くクレアの表情は明るく、楽しそうだった。


足がもつれそうになりながらもついて行くオリヴィアは、クレアの横顔を見てほんの少し口元を緩めた。


クレアはドアを開くなり、満面の笑みを零した。



「レベッカ!! お待たせしてしまってごめんなさい」



部屋の中にいたレベッカは、驚いた顔を向けた。


だが直ぐに眉尻を下げ、少し困った顔をした。



「そんなに急いでいらっしゃらずとも、私は何処にも行きませんよ、クレアさん」



レベッカはおかしそうに笑みをこぼした。



「私が貴女に早く会いたかったのよ」

「私もです」



クレアとレベッカは軽く抱擁を交わし、久しぶりの再会に喜びを分かち合った。


クレアとレベッカは、クレアがレッドフォード家に嫁いでからの付き合いだ。


初めは伯爵夫人と仕立て屋という肩書き通りの関係だったが、顔を合わせるにつれ意気投合し、今では仲の良い友達という関係になっていた。


レベッカはオリヴィアに目を向け、ニッコリ微笑んだ。





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