† Lの呪縛 †
*****



最近はいつもにも増してにこやかなクレア。


そんな妻の姿を微笑ましく見守っている夫のダグラス。


オリヴィアもノエルも、クレアが何故こんなにご機嫌なのか不思議で堪らない。


ノエルは思い切って聞いてみることにした。



「お母様、近頃はご機嫌なご様子だけど、何かいいことでもあったの?」

「ふふっ、聞きたい?」



もったいぶるクレアはとても楽しそうだ。


暫くニコニコと笑っていたクレアが口を開いた。



「実はね、ダレル子爵のご子息からアプローチされてるのよ」



ダグラスとノエルは意味が分からなくて、首を傾げた。


一方オリヴィアは瞬時に意味を理解し、顔を赤くした。


ノエルはオリヴィアの反応を見て、ハッとした。


楽しかった筈の朝食の時間が冷めた空間へと変わっていく。


恐れていた事が起きてしまったのだと、ノエルの頭の中が次第に真っ白になっていく。



「いつダレル子爵のご子息と会ったんだい?」



ノエルの気持ちを知っているダグラスは、密かに動揺している息子の代わりに話を続けた。



「この前シンシアのお宅にお邪魔した時よ。 偶然アレンとダレル子爵のご子息もいらっしゃったから、みんなでお茶をしたの。 オリヴィアに一目惚れしてしまったみたい」



声を弾ませながら楽しそうに話をするクレアは、ノエルの様子に全く気が付いていない。






< 78 / 260 >

この作品をシェア

pagetop