† Lの呪縛 †
ノエルは沈んでいく気持ちを、表面に出さないようにするだけで精一杯だった。


人を魅了する雰囲気を纏うオリヴィア。


美しさだけではない、惹きつけられる魅力がある。


キティたちとお茶をするだけだと油断していた。


キティの婚約者であるアレンだけならまだしも、まさかダレル子爵の子息までもが同席していただなんて……と、ノエルは悔いる思いで一杯だった。



「こんな事を言ってはなんだが、ダレル子爵のご子息は女癖があまりよくないとの噂だが、大丈夫なのか?」



冷静を装うノエルを尻目に、ダグラスはクレアに話をふった。



「そんなお話も聞くけれど、ちゃんとお話をしてみたらしっかりした好青年だったわよ。 それに、若い頃女性関係がお盛んでも、結婚をすれば落ち着く場合もあるじゃないの」



クレアに意味有り気な笑みを見せられ、ダグラスは曖昧な笑みで返した。


若い頃のダグラスには、引っ切り無しに女性が寄ってきていた。


その為クレアは正直気がきではなかった。


婚約を交わしてはいたが、それでもハラハラする事は何度かあった。





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