天使の歌

「……な、にが……目的、だ……。」

喘ぎながら、セティはディリーを睨み付ける。

「さぁ?」

ディリーは鼻で笑って、あしらった。

「……俺を、弱らせ……戦えなくする事が、目的、なのか……。」

「さぁ?」

「……俺に、何を、している……。」

「さぁ?」

セティの質問 全てに、ディリーは同じ答えを返した。

セティは、汗で額に張り付いた長い銀の前髪を 欝陶しそうに払い、苦痛に揺れる瞳で、ディリーを見つめた。

「……俺、は……俺達は……生きたいだけ、なんだ……。」

「…………。」

「……頼む……。」

必死に訴えるセティを、少しだけ哀れみを浮かべた瞳で見つめ、ディリーは首を振った。

「生きているだけで罪な事、あんたは解ってんでしょ?」

――忌み子。

――穢れている。

――死ね。

幼い頃から言われ続けて来た、存在 自体を否定される言葉。

(……解ってる……。)

解ってるよ。

でも、生きたいんだ。

俺が生まれて来た意味。
俺が生まれて来た価値。

それを、知る為に――。

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