天使の歌
軽蔑、するだろうか。
キュティがディリーの顔を仰いだ その時。
部屋のドアが静かに開き、1人の女性が入って来た。
身長より長い桃色の髪、同じ色の瞳。
歳は20代 半ばだろうか。
キュティは知る由も無かったが、彼女は、キュティの村を滅ぼし、ネスティを殺した天使だった。
「……どなた、ですか……?」
恐る恐る訊くと、彼女は艶やかな微笑みを浮かべた。
「私は、リエティー。スティ様の命で来たの。」
「……スティ……。」
その言葉を聞いて、キュティは目を見開いた。
スティ――橙の髪の、セティの異父兄。
「貴方達を、スティ様の元へ連れて行くわ。」
「……嫌っ……。」
恐怖で後退ったキュティの足が、ベッドに ぶつかる。
その瞬間、リエティーが放った雷の神霊(みたま)が、キュティを吹き飛ばした。
「あっ……。」
壁に叩き付けられ、キュティは床に踞った。
大した電圧では無かったようで、キュティの躰は僅かに痺れただけだった。
それでも、初めて神霊(みたま)で攻撃された恐怖と痛みで、動けなかった。
「貴方、ほんとに何にも出来ないのねェ。」
リエティーが くすくす笑う。