天使の歌

(……ディリーさん……。)

思わず縋るように彼女を見つめて、キュティは愕然とした。

ディリーは、リエティーの隣に立ち、何処か馬鹿にしたような瞳で、キュティを見ていた。

「御免ね、あたし、あんたの味方じゃないの。」

今迄 聞いた事の無い、冷たい声。

「あたしも、スティ様の部下だから。」

(……あぁ……。)

セティが、正しかったんだ。

絶望に、躰が蝕まれて行く。

私達 忌み子は、誰も信じちゃいけないんだ……。

キュティの頬を、涙が伝う。

(……セティ、御免……。)

キュティは心の中で、必死に謝る。

今迄セティは、悪魔狩りから上手く逃れて来たのに。

キュティに出会ってから、自分を狙う異父兄と再会し、悪魔の力が暴走し、ディリーに苦しめられ。

こうして、見事に敵の罠に嵌められた。

(全部……。)

――私の所為だ。

リエティーが、キュティに向かって歩き出す。

その時。

キュティとリエティーの間に、白銀の光が飛び込んだ。

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